「”巨乳”をつくった男」

 

中国では借地権のみで土地の所有権は認められないから、中国人が日本の土地を購入することに規制を、という声があります。
 
沖縄の無人島を中国人が買ったことがSNSで拡散し、日本人は中国の土地を買えないのに不公平だ、という声が沸き起こったのです。
 
が、土地はいくら中国人が買っても、中国に持って帰れません。それどころか誰も見向きもしなかった土地を購入することで、その土地に値がつき「固定資産税」という富が国にもたらされるのですから、願ったり叶ったりなのでございます。
 
中国人が日本に来て爆買いすることは喜ぶのに、持ち帰れぬ土地を買うのは困る、というのはなんとも理解し難い屁理屈に感じるのは、手前どもだけではないのではないでしょうか。
 
1989年の天安門事件以降の中国の経済は、外国からの投資が激減し、青色吐息状態となりました。
 
こうした困窮した状況を変えようと、中国政府は中国の土地を開発業者に貸し出し、経済の活性化を図りました。
 
そこに目をつけた日本の上場企業のM社があります。前身は中内功さまが買収した音響メーカーでしたが、今後の展開は望み薄と考え、金融ブローカーのMに譲渡しました。
 
Mはその音響メーカーを自分の名前の「M」に変えて東南アジアの開発事業に舵を切ったのです。
 
最初に目をつけたのは今後の発展が期待できるフィリピンです。フィリピンの米軍が使用していた土地に惜しみなく金をつぎ込み、その土地を買収していきました。
 
そしてその土地を区画整理し、東南アジア進出を狙う日本企業に使用権を販売し、大きな利益を上げたのです。
 
次にMが次なるターゲットにしたのは1989年の天安門事件後、困窮していた中国です。Mは香港から指呼の距離になる深センに目をつけました。
 
深センは中国の地方の貧しい漁村と、広大な荒れた土地でした。当時は、新宿副都心の高層ビル群のはるかに上をいく発展など、誰も予想しえなかったのです。
 
が、Mは違いました。いずれ10億の民を有する中国の経済は発展することになる、そうすれば香港に一番近い場所にある深センの土地の価値はうなぎのぼりとなる、と見越したのです。
 
先見の明、とはこのことを言うのでしょう。Mはありったけの金を注ぎ込み、将来の発展が見込める有望な土地の使用権(70年)を買い漁りました。
 
その頃、中国にも現在の深センの繁栄を予測できた人間はいませんでした。逆に随分とお人好しな人間がいるものだと、土地の有力者の中国人にも呆れられていたものです。
 
が、中国はMの目論見通りに、アレヨアレヨという間に発展し、深センは一大工業都市に生まれ変わったのでした。
 
Mの会社は今日、奇跡のような発展の恩恵を受け、毎年何百億円もの莫大な利益を手にしています。
 
特に日本と違い、こたえられないのは一度70年の土地使用権を獲得してしまえば、その後「固定資産税」なる税金を払わずとも、権利を有する70年間は自由にその土地を使用できるということです。
 
日本のように、固定資産税を払わずにいたら何十年後には全てお国に召し上げられてしまう、ということがないのです。
 
日本人は自分の名義になっているから自分のモノだ、と思い込んでいますが、大いなる勘違いでございます。
 
お国は、日本の土地は全部日本国のモノであり、「私有権」という名の使用する権利を「固定資産税」の税金を払うことで「貸している」に過ぎないのでございます。
 
こうした事実を知らずに、どうもこの頃日本人は「中国」というと視野狭窄に陥り、クソもミソも一緒に考えての思考停止状態となる傾向がございます。
 
「日本大好き」の中国人が、日本人が誰も手を出さない土地を有難いことに買ってくれて、固定資産税を払ってくださる、と考えれば「御礼」を申し上げることはあっても、なにも批判されることなど少しもないのでございます。
 
テレビメディアは悪癖が出て、中国人を悪者にしていれば視聴率を稼げるとばかりに、客観的報道を棚上げにしています。
 
が、中国人が沖縄に限らず北海道や本州の各地の風光明媚な土地を買っているのは、ほとんどは日本人の不動産ブローカーのカモにされている人なのです。
 
ご案内のように、日本人の不動産屋は儲けが出る土地には敏感で、商売になるいい出物があると”いの一番”に自分のモノにして、中国人に利益を譲るというようなお人好しはしません。
 
中国人がせっせと買い求めている不動産は、目端の利く日本人の不動産屋が手を出さない、いわば儲けの薄いダモノに過ぎないのです。
 
それでも「日本大好き」の金余りの中国人にとって、日本の土地や不動産物件を買うことは、いたくプライドを満足させてくれるのでした。
 
日本の安心と安全な社会風土が、生き馬の目を抜くような中国社会に生きる中国人にとっては、何よりの安らぎとなる価値のあることなのでございます。
 
日本の不動産を所有している中国人は、日本大好きのお人好し、と言ってもいいのでございます。
 
中国人の日本の不動産購入に文句をつける人たちは、中国人の無知や人の好さにつけ込み、価値のない熊の出てくるような山奥の土地や、沖縄の孤島を、さもお買い得であるかのような甘言を弄び売りつけている悪徳業者の日本人土地ブローカーを「日本の恥さらし」と批判すべきなのでございます。
 
中国人に土地を売るな、との偏狭な価値観の持ち主は、中国に進出の自動車メーカーをはじめとする少なからずの著名な日本企業が中国のどれだけ広い中国の土地の「借地権」を購入し、ビジネスを展開しているかについて思いを馳せるべきでございましょう。
 
中国湖南省の省都・長沙に行けば、中国に進出した三菱自動車の広大な土地を目にすることができます。
 
また、表面的には睨み合っている米中ですが、昨年度は史上最高の貿易額を達成している現実を、目をよく見開いて確認すべきでございます。
 
 
 
 
 
北朝鮮の…

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