「監督、申し訳ないことになったよ」との電話がかかってきました。電話の声の主はその頃資金繰りの金を用立ててもらっていた高利貸しです。10日に1割という高額な金利を取られていました。なんとか会社を生きながらえさせねばならないと必死だった私は、溺れる者は藁をもつかむ心境で、この高利貸しから金を借りていたのです。
丁度その日は数日前に返済した3000万円を再び貸してもらう約束になっていました。もうすぐお昼になろうという時刻でした。もうそろそろ金を借りに行く約束の午後2時が迫っていました。
そんな時、突然「申し訳ない」との詫びる言葉を電話で受けたのです。「監督に貸す予定になっていた3000万円だが、貸せなくなっちゃったんだよ。今、俺の目の前にいる鈴木という小僧が、今日返す約束で貸していた金を急に返せなくなったって言うんだよ。だから悪いんだけど今日の3000万円は諦めてくれないか」と言うのでした。
3000万円もの金を貸してくれるアテは他にありませんでした。「社長、無理ですよ、なんとかしてもらえませんか。今日その3000万円の金が3時までに無ければ、私の会社は不渡りを出してしまいます」と訴えました。
すると高利貸しの社長は「ホラ鈴木、天下の村西監督がお前のせいで会社を潰さなければならないと言っているんだよ。この野郎!お前はどう責任を取るつもりなんだ、俺だけならまだしも、天下の村西監督にこんな迷惑をかけるなんて、テメエ許さねえぞ」と怒鳴るのでした。
そして、“鈴木”とやらの顔を殴る音が電話口に響いてきたのです。
「社長、暴力はやめてくださいよ、私のために警察沙汰になったら、それこそ多変なことになりますから」と社長を戒め、「社長が駄目なら他の知り合いのところを紹介していただけないでしょうか」と頼みました。
社長は「そうだな…
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