「かくてAVが誕生した / 平幹二朗さまと佐久間良子さまの”秘められた性”」

◆「全裸監督 村西とおる伝」好評発売中!         

人生、死んでしまいたいときには下をみろ!おれがいる
http://www.ohtabooks.com/publish/2016/10/17001854.html

 

 

このほど、太田出版より本橋信宏著「全裸監督~村西とおる伝」が出版されました。

発売してすぐにアマゾンの風俗ノンフィクション部門でベストセラー1位を達成し、おかげさまで好調でございます。

本の内容は著者の本橋さまと手前どもの約33年間に及ぶ「交遊録」となっております。

本橋さまと手前どもが知り合ったのは、約33年前、「裏本稼業」に従事している時でした。

彼はまだ26歳の、早稲田を卒業した文学青年の匂いを漂わせている若者でした。

手前どもは本橋さまより8歳年上で、北海道に40数店舗の裏本店を経営し、東京でも自前のドイツ製4色印刷機を備えた裏本印刷工場を持って全国展開をはかっていた「裏本の吉野家」を目指していた、青年実業家気取りの男でございました。

裏本が日本中で大流行していた時代です。

手前どもも連日、札束の山に囲まれて我が世の春を謳歌しておりました。

大儲けをして、日本中の金が自分に向かってくるように思ったものです。

その余勢を駆って挑んだのが、話題となっていた写真週刊誌「フォーカス」の向こうを張って出版した「スクランブル」という雑誌でした。

若気の至りにも程がある、というものでございました。

日販、東販の流通を通さずに全国の書店に直販するという、本の流通革命に挑みましたが、アッという間に資金ショートを起こし頓挫しました。

編集部を閉めるにあたっては本橋さまには経済的にも精神的にも大変な迷惑をかけました。

その間の事情は本書に詳しく書かれてありますので、もしよろしければお手にとって読んでいただければ、と存じます。

本橋さまは、この「スクランブル時代」から33年間に及ぶ手前どもとの付き合いの中で、実に様々な媒体で手前どものことを書き綴ってきております。

「ナイスですね 村西とおるの挑戦状」「にくいあんちくしょう」「裏本時代」「アダルトビデオ~村西とおるとその時代」「悪人志願」「エロ職人ヒビヤンの日々涙滴」「ニッポン欲望列島」「新AV時代~悩ましき人々の群れ」「エロ本黄金時代」といった本などを書かれています。

ある意味では、手前どもよりもよく手前どものことを知った男、でございます。

もはや手前どものことは書き尽くした感があったのでございましたが、改めてこのほど「全裸監督~村西とおる伝」の出版となったのは、ある編集者の熱意によるものです。

この本の編集発行人となられている穂原俊二さまの存在です。

穂原さまが青春時代に、手前どもはAVの全盛期を過ごしていました。

穂原さまは、手前どもを遠くから見ていて眩しく感じられたといいます。

この「奇怪な人物の評伝をいつか出してみたい」との情熱を持たれたのでした。

昨年の夏頃でございます。

本橋さまが穂原さまと一緒に手前どもを訪ねてこられました。

穂原さまは「これまで本橋先生が書かれた本は、書き手である本橋先生ご自身の人生を色濃く描かれている側面がありました。私は純粋に、監督にフォーカスをあてた”村西とおる伝”を自分の手でまとめるのが、かねてからの夢でした。今ようやくその時が来たような気がします。20年抱き続けてきた夢を是非、実現させてください」と頭を下げられたのでございます。

手前どものようなエロ事師の何を今更、書くべきものがあるようにも思われませんでしたが、穂原さまの誠実な人間性に接して、「こちらこそ、よろしくお願いします」と頭を下げた次第です。

書き手が、これまで手前どものことを誰よりも熟知し、書き続けてきた本橋さまであれば、なんの不安もありませんでした。

本の出版時期は年末を目処に、ということでございましたので、改めて本橋さまのインタビューを2、3度に分けて受けました。

しかしながら、3カ月ほど経って年末が来ても本が出版されることはありませんでした。

本橋さまから電話があり、もう少し書き加えることがあるので再びインタビューをさせて欲しい、とのことです。

アナルの中の中までご披露してきたつもりでしたので、またインタビュー、の言葉に戸惑いましたが、書き手が聞き足りないということであれば仕方がありません。

それからまた2度3度と重ねてインタビューを受けました。

長かった冬が過ぎ、「桜散る頃には」とのご連絡が本橋さまからございました。

長すぎる、と思いました。

これまで本橋さまのインタビューは、折に触れ数十回は受けてきましたが、その時その時で立派な原稿の仕上がりをみせていました。

それなのに、この期に至って半年以上も経ってまとまらないとは何なのだろう、と訝しく思いました。

その疑問を口にすると「穂原編集長の再三にわたるダメ出しがあって、苦労しています」とのことです。

あの、表面的にサッパリとした穂原編集長さまが意外にもこだわりのタイプであったのでした。

春が過ぎて夏が来ても本が出版されることはありませんでした。

それでいながら改めて何度も、追加のインタビューを受けました。

悪い冗談のように思えましたが、乗りかかった船です。仕方なくインタビューを受け続けました。

途中、本橋さまから「本の内容の件で穂原編集長との間で激しいやりとりがあった」ごときのことを耳にしました。

「厳しいんですよ、簡単に許してくれないんです」と流石の本橋さまも愚痴めいたことを口にしました。

何がどんな風に厳しいのかは見当がつきませんでしたが、あの本橋さまが音を上げるぐらいだから相当のことだろう、と推測しました。

本の出版後、本橋さまから「穂原編集長と編集部で取っ組み合いの喧嘩になったことがあった」と知らされました。

この間、穂原編集長さまとも何度か面談をし、「かつてない本にしたいと意気込んでいます、予定より大分遅れていますが、今しばらくお待ちください」とのご挨拶を受けていました。

”しばらく”が1年近く遅れることになり、ようやくこの10月18日に日の目を見て発売されることになったのでございます。

発売の1週間前、本橋さまと穂原編集長さまが印刷所から刷り上がったばかりのホヤホヤの本を手前どもの事務所に届けてくださいました。

黒の背に白文字が浮き上がる重厚な出来栄えです。

何よりも、その厚さに驚きました。

708ページもある、今時に珍しい厚みがありました。

「監督の伝記本を仕上げようとしたら、この厚さになってしまいました」と語る穂原編集長さまの表情は実に誇らしげでございました。

表紙を飾る手前どもの写真や本のデザインは、この手の仕事に関して業界では「日本一」と言われる職人の仕事によるものです。

男が満足する仕事をやり遂げた自信が見て取れました。

お話をいただいてから1年3カ月、ついにこの穂原編集長さまの執念が実ったのでございます。

我がことを書いた本ではございますが、編集長としての意地を押し通してここにようやくその美学が1冊の本として結実したのでございます。

傍で本橋さまも、「精根尽くして書き上げた本です」と、いつも謙虚な彼には珍しく自賛の声を上げています。

実に立派な装丁の本です。

帯には「日本経済に必要なのは、村西とおるが手放さない生への希望である」と東京大学大学院教授、松原隆一郎さまの有り難い文章が記されています。

誠にもって身に余る光栄なお言葉でございます。

価格は2400円と少しお高い本ですが、708ページのページ数で割ればかえって割安ではないかと思うのでございます。

とにもかくにも、この「おめでたい」本でございますが、その「おめでたさ」は読者の皆さまに届けられる言葉と自負しております。

なんとなれば、本の体裁は「村西とおる伝」となっていますが、本書の内容はこの35年間に大きく変遷を遂げた日本の性の文化史となっています。

特にAVは、単に「性生活」への影響にとどまらず、現代人の男と女、そして社会のありようにも多いなる影響を与えました。

それは文学、音楽、絵画、演劇、映画、伝統芸能といったあらゆるジャンルを超えて圧倒的に日本人の意識に大きな影響を及ぼしています。

手前味噌で恐縮ですが、そのことがこの本を読むとよく理解できるはずでございます。

AV業界人は今日においても、ともすれば、置き引き、万引きよりも少し上、の職業として差別されているキライがあります。

が、数十年後、必ずやAVこそが私たち日本人の精神史の幸福の淵源であったことが証明されることになることを信じています。

それは私たちにAVがなかったことを想像すれば明らかです。

AVのない社会、人生などどれほどにつまらなく乾いていた社会でありましょうか。

泉下では豊臣秀吉や徳川家康、真田幸村も生きているうちに一度でいいからAVを見てみたかったもの、と地団駄を踏んでいるに違いありません。

日本のAVが韓国や中国人からも「神」と崇め奉られている分水嶺は「裏本」の存在にございました。

もしあの「裏本時代」がなかりせば、今日のような日本のAVの発展と進化はなかったのでございます。

せいぜい日活ロマンポルノのような「形式のSEX」でお茶を濁していたのでございます。

今日のように中国や韓国、東南アジアの人々のみならず世界に冠たる「日本のAV」の地位を知らしめたのは、その前の「裏本時代」の性文化が日本に花開いた歴史があったからでございます。

そして、その裏本時代を「牽引」したのは、恐縮でございますが「裏本の帝王」といわれた手前どもでございました。

この間の経緯は「全裸監督」に記されています。

手前どもがAVに参入したのは…

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