ようやくワールドカップサッカーが終わり、これで寝不足が解消できるとホッとしております。
一銭の得にもならないのに寝不足になって、、、のご亭主に対する奥方の愚痴は日本中に満ちていたように思います。
その通り、全くなんだったのだろうと、憧れの姫君の秘密基地を目撃したごとくに興奮していたことが、終わってしまった今は不思議に思われてなりません。
が、俄かサッカーファンの手前どもでさえ、あれほど熱狂させるのですから、サッカーの魅力に世界の人々が嵌まり、狂ったような大騒ぎを繰り広げていることも頷けたのでございます。
改めて感じたことは、4年後の日本代表チームが再び活躍し、ベスト16の壁を突破するには、メッシやエムバペのような優れた個人技を持つ選手が少なくとも4、5人いなくてはどうにもならないということでした。
やはり個々の突破力がなくては、ここ、という時にゴールを決めることができないのです。
報道では4年後に日本の至宝となる有力な若手選手が少なからず存在するということでございます。
そうした選手の成長を楽しみに、4年後を待ちきれないのですが、生き続けて再び楽しみたいと思うのです。
この一年間、毎週日曜日楽しんでいたNHK大河「鎌倉殿の13人」がこれまた終了しました。
三谷幸喜さまの脚本の素晴らしさに相まって、豪華な出演陣の熱のこもった演技で、日曜の夜はゴージャスな時間を過ごすことができたのです。
特に三谷さまの脚本の、時に笑いを、そして時にシリアスに、の硬軟取り交ぜた世界に「これがテレビドラマの真髄だ」と酔うことができたのは実に幸福なことでした。
人気の「サイレント」のテレビドラマの女性脚本家が「私は韓流ドラマを見ない、日本のテレビドラマが好き。そこには韓流ドラマにはない日本語の持つ重厚的で深淵で煌びやかな言葉に紡がれた、心を打つ人間絵巻を見ることができるから」と語られていましたが、そうした日本語の持つ比類なき言葉の魅力が「鎌倉殿の13人」には満載なのでした。
以前番組のプロモーションで出演陣が口を揃えて「最終回の終わり方は想像を超えたものでした」と絶賛していました。
また、脚本を書かれた三谷さま自身も「これまでになく自信があるので、ご期待ください」と語られておりましたので、いったいどんなクライマックスを見せてくれるのだろうかと楽しみだったのです。
ご覧になられた皆さまも少なくないかと存じますが、その通り最後は期待にたがわず、壮大な人間ドラマに相応しい、意表をつくものとなったのです。
それはまるでシェイクスピアのドラマにも似て、人間は最後は善なる神によって裁かれるがごときものでした。
しかし、そうした「裁きの最後」によって、人間の希望を高らかに謳い上げたと認識しています。
「悪なるものは必ず滅ぶ」ことによって人間は救われる存在であるということなのでした。
最終回で印象的だったのは、小栗旬さま演じる北条義時が姉・北条政子の手によって死を迎えるという衝撃的なシーンにも増して、義母の宮沢りえさまの再びの登場でした。
京都で暮らしていた身に、自分の夫だった北条時宗が7年前に死んだことを知らされた時の幾重にも計算された巧みな演技には、心底さすが、と感嘆しました。
時宗は死んだが、それを看取った女性がいたことを聞いた時の悲しみと女の嫉妬の情念の世界を、彼女以上に見事に演じてみせることができる女優は、この日本に他に誰がいるというのでしょうか。
加えて、美しい、その美しさは圧巻で凄絶といってもいいほどでございます。
これまで数知れぬ程女優を見てまいりましたが、彼女を超える美貌を見たことがありません。ただ画面に登場するだけで絵になり、ポカーンと口を開いて見ているだけの魅せられる女優など、三千世界のどこにいるというのでしょうか。
再び宮沢りえさまがテレビに出演し魅せて心を千々に乱してくれるような時が来ることに焦がれております。
かえすがえす残念なことは、折角NETFLIX「全裸監督」にご出演くださったのに、一目電信柱の陰からお目にかかる機会を逸したことでございます。
M1グランプリでウエストランド井口さまが優勝なされました。
以前、井口さまにはテレビのお仕事でお目にかかったことがあります。
こんなキレキレなワードを口から無尽蔵に放つお笑い芸人がいるのかと驚嘆しうたことを鮮明に覚えています。
W杯サッカーがはじまった時は、「サッカー通芸人」としてテレビ出演しご活躍なされておりましたが、長き蛍雪の刻を経て、本業の「お笑い」でテッペンを取られたことは、実におめでたいことでございます。
井口さまは同級生の相方と組み、苦節20年でようやく栄冠を手にすることができたのですが、あれだけの能力があったならもっと以前に賞に輝いてもいいものだろうにと、その才能を知る手前どもは少しも驚きませんでした。
逆に「遅すぎだろう」との感想を持ったほどです。
井口さまの漫才は全て、相方の同級生のボケ担当ではなくご自分で書かれているそうです。
が、ギャラはキッチリ等分で、ピンで仕事をした分のギャラも相方と2人で分けている、といいます。
一見愚鈍な相方をイジメているように見える井口さまですが、実のところは友情に厚い男なのです。
井口さまの漫才は風刺に満ちています。社会の常識、不条理に挑戦するスタイルは、コンプラ全盛の今日においては邪道といえるほどに危険なものです。が、「お笑い」とは「人間の愚かさや駄目さ加減を、自分を洒落のめして嘲笑う」ことです。
他人を叩いたり、ぶったり、の芸ではありません。言葉を武器に「笑いの矢」で観客の胸を抉る毒を放つのです。
そうした漫才に期待される「言葉の武器」を持って勝負している唯一の存在といってもいい井口さまの、これからの活躍を大いに期待したく存じております。
井口さまの漫才は「エロティシズム」です。
エロスとは「死の絶望」と「生(性)の希望」の落差のことをいいますが、愚鈍の相方とキレキレの極太、との誉れ高い井口さまの漫才コンビのコントラストこそ、エロティシズムの極致といえるのではないでしょうか。
ボクシングの井上尚弥選手の試合を見ました。
強い、というのはこのことなのだと思い知らされたのです。パンチの切れ味が違いました。
バシ、バシ、バシ、と
続きは「まぐまぐ!」でお読みください…