中国に来ています。来る度に思うことは、中国の発展の凄まじさです。
北京や上海で林立する高層ビル群の摩天楼に圧倒されます。
街並みも10年前とは違って綺麗に整備されています。車で走っていてもクラクションの音を聞くことが全くありません。
クラクションを不用意に鳴らしたら罰金をとられる法律が施行され、あの10年前に街中にひっきりなしに鳴り響いていたクラクションの音が全く聞こえなくなっているのです。
一夜にしてマナー大国になる共産党独裁国家ならではの変わり身の早さでございます。
経済は目覚ましい発展を遂げていて、先頃習近平さまが党大会で掲げた目標によれば、2035年には中国の国民一人あたりのGDPが日本や米国を追い越すといいます。
この20年の目覚ましい中国の発展を目撃してきた手前どもには、それはあながち夢物語などではなく、現実に可能なことに思われるのです。
比べて日本はこの20年間で、個人所得は15%も減少しています。
かの中国では10倍も所得を増やしているというのに、でございます。
日本人ももうそろそろ目を覚まして中国を上から目線で見る幻想から解き放たれ、現実を直視し、「現代化強国、中国」の意味を真剣に考えるべき時が来ているのです。
共産党独裁政権の、政治と経済は別、との観点から、2035年の中国を「良きライバル」ととらえて、今こそ力を振り絞って奮闘しなければなりません。
甘く考えていたら17年後の2035年は、日本は政治的にも経済的にも中国の属国として生きることを免れないでしょう。
中国のダイナミズムを象徴するものに「食」があります。四つ足のものならテーブル以外何でも口にするという「旺盛」な中国人の食欲でございますが、その食生活が満足に営まれるようになったのはこの20年のことでございます。
それ以前の中国は3食どころか2食を食べるのがやっとで、少なからずの中国人は1日1食で過ごしていました。
14億人の人口を抱える中国で、人民の腹を満たすことは容易なことではないのですが、中国共産党政府にとっての最大の課題は、もう二度と、1950~60年代の、毛沢東の失敗によって4千万人が飢え死にしたという、あの飢餓の時代に戻らないことを最優先にしております。
こうした近代中国の飢餓死の経験から、中国人の食に対する執着は殊の外、でございます。
何人かの知り合いが集まると、まず食事からはじめる、はじまる、のでございます。
会合でも遊びでも、仕事の打ち合わせでも食べること抜きにははじまりません。
親しくなった同士は必ず食事に誘い合います。互いに胸襟を開いて話し合うには、まず食事を共にすることからはじめる、という風習があります。
親しくなった中国人から食事に誘われることになりますが、断ってはいけません。
中国人にとっては互いに心を許し合った、という証拠が、食事の席を共にすることだからです。
せっかく誘われた晩ご飯を、一緒にとることを断ると、相手は嫌われたと誤解します。
ですからよほどのことがない限り、親しくなった相手とは食事をごちそうしたり、ごちそうされたりするのが礼儀と心得ることが必要です。
この中国人の習慣に無知なために、日本式に「食事を共にすることはない、相手の迷惑にもなるし」と断ったりすると、それまでうまくいっていた商談が決裂したりすることがあるのです。中国人は面子を重んじます。食事を断られると、自分は信頼されていない、好かれていないと誤解してしまうので、注意しなければなりません。
郷に入っては郷に従え、と言います。日本人が畳の部屋に土足で上がられるのを嫌うように、中国人にとっては食事を一緒にとることを拒否されることは土足で家の中に上がられるような屈辱なのです。
たいして親しくもない間柄なのに一緒の食事は遠慮しておく、といった考えは、中国人にとって無礼なことになることを理解すべきなのです。
中国人と親しくなったら、必ずその晩の夕飯に招待する、それがマナーです。
相手の中国人も、当然のように親しくなった日本人から夕飯に誘われることを期待しているのですから、礼儀を欠くことがあっては、それこそマナー違反となります。
公園のベンチでも、道路を歩いていても、飛行場の待合室でも、車を運転しながらも、中国人は食い物を口に入れてムシャムシャと食べています。
その旺盛な食欲には驚かされるのですが、中国人の長い歴史の中で、ようやく満足に食べることができるようになったのはこの20年であることを考えると、その常在戦場の飽くなき食欲を納得できるのでございます。
中国はスマホ大国です。決済もスマホでできるため、このところお金を触ったことがないという人たちが増えています。
スマホでの決済はアリババのアリペイ、テンセントのウィーチャットペイで行われていますが、それらの電子決済金額は2017年度は約1000兆円に上ると言われているほどに、中国人の消費生活には欠かせないものとなっています。
中国で9億人が持つと言われるスマホは、様々な情報を提供してくれるツールとしても活用されています。
中国人の知人の女性と夕飯を食べに行くことにしました。
彼女が「何を食べたいですか」と聞いてきたので「焼肉」と答えますと、たちどころにスマホで検索し、現在位置から一番近い焼肉店までの歩いて到着できる時間とタクシーで到着できる時間を表示させてみせたのでした。
またお店の中の写真やメニューなども同時に検索できて、自分好みのお店を簡単にチョイスできる仕組みになっていました。
こうした検索機能はレストランやホテルばかりではなく、あらゆる職種に及んでいるといいます。
中国にはVISAやJCB、マスターカードといったカードの文化はありません。
一時は銀聯カードが幅を利かせておりましたが、現在ではアリペイやウィーチャットペイのシステムにとって代わられております。
カードの文化が根付くことがなかったために、一挙に世界の電子決済大国に躍り出たのでございました。
それはかつて日本が、バイクから軽四輪車、そして普通乗用車から高級乗用車までの自動車の階段を一歩ずつのぼり詰めた過程と比べて、躊躇せずに自転車の文化から自動車の文化へと走り抜けた中国の躍進ぶりにも似ています。
家庭の黒電話の時代を飛び越えてスマホの時代となったように、です。
アリペイやウィーチャットペイの普及はこれまで中国が頭を抱えていた問題を同時に解決する役割も果たしました。
偽札と個人消費の動向です。
これまで中国で100元札で支払いをすると、店員は必ずと言っていいほど電燈の灯りに紙幣をかざして、偽札ではないか、を確かめる所作に遭遇しました。
それほど「北朝鮮製」と言われる中国100元(日本円で1,700円)の偽札が中国国内で横行していたのですが、アリペイやウィーチャットペイの出現によって、それらの偽札は駆逐される運命となっております。
また電子決済の普及によって、これまで中国政府が把握できなかった個人の消費額を完全に掌握できるようになったことで、闇の裏経済を表に出すことに成功しました。
中国のGDPは1300兆円と言われていますが、これとは別に400兆円前後の「闇のGDP」が存在すると言われています。
電子決済が主流になることで、これまでベールに包まれていた個人の所得が明らかになり、課税がしやすくなる、という一石二鳥を中国政府は手にしたのでした。
中国の人たちは、いまだ日本のような社会保障制度や福祉に恵まれておらず、混沌とした社会環境の中を生きています。
が、中国の人々には暗さがありません。昨日より今日の豊かさを実感し、明日への希望を抱いているから、皆イキイキとして輝いています。
いささか生き急ぎしすぎのきらいもありますが、そうした性急さはバイタリティの発露といえるものです。
2035年には、日本人がこぞって中国にメイドや奉公人として行くような事態から免れるよう、今こそフンドシを締め直して立ち上がるべきでございます。
タカを括っているうちに、遅きに失して「あの時に頑張っておけばよかった」とならぬよう、日本は今こそ頑張るべきでございます。
日本は中国の脅威の躍進を横目で見て、この20年過ごしてきました。
日本には20年の準備期間が与えられていたのです。もはや遅すぎる、と感じつつも、これが最後のチャンスと考えるのでございます。
これまでの人生を振り返ればなんであの時もっと頑張らなかったのだろう、と後悔することばかりでございます。
勉強でも仕事でも、すべてのことにおいて、でございます。
もちろん、女性との関係においても後悔ばかりの人生でございました。
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